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神奈川県は、1995年4月からこの県民活動支援センターを横浜駅西口の交通至便な地に設立させ、ボランティア活動などを行う団体に活動場所の提供や情報の提供を行っている。このセンターは、県による直営の施設として運営され、職員はすべて県の職員であるが、市民が気楽に立ち寄れるように、ジーパン姿で出勤し、市民の相談業務などにあたっている。市民活動団体がいつでも打ち合わせや作業に使えるコーナーや資料・書籍を閲覧するコーナーが設置されているほか、予約制の会議室がある。会議室を使用するには料金が必要だが、周辺の民間の貸し会議室に比べて料金が安く設定してある。また、特徴的なこととしては、希望する市民活動団体のメールボックスをおいており、郵便物の他、情報提供のための資料配付も許されている。
神奈川県のこの試みは、活動場所の確保という問題に応えようとするものとして注目でき、不特定多数の市民活動団体に、比較的容易に活動場所を提供すると同時に、県民が市民活動に参加しようとしたときに行政が行えるアナウンス機能を担うものとしても参考になる。
地方自治体にとって常に悩ましいのは、どのような団体を公益性を保持する市民活動団体として認知するかということであり、神奈川県県民活動支援センターでもその点は重要な問題としてある。しかし、市民活動の自立性や自主性を損なわないためには、あまり厳格な要件を設定することは好ましくなく、できるだけ広い範囲の市民活動団体に門戸を開いておくことが必要であるように思われる。
(b) 情報の提供
ある市民がボランティア活動が活発化していることを知り、そうした活動に参加しようとしても、参加するための方法やそれへのアクセスの仕方が身近なものになっているとはいいがたい・阪神・淡路大震災の教訓もあり、先の日本海重油流出事故の際のボランティアへの参加については、情報提供がかなり行われたようであるが、地方自治体が率先して情報提供にあたった例はあまり多くあるまい。
先に見た神奈川県県民活動支援センターの場合、情報提供のコーナーがあり、そこにいけば、市民活動に参加するための情報が得られるのであるが、そうした専門的柱コーナーを設けている自治体の例は未だ少数である。多くの自治体では、公民館やコミュニティセンター、あるいは図書館などにそうした情報提供のコーナーを設けている場合が多いと思われるが、これらは、他の多くの情報の一部として市民活動についての情報を提供しているものが多く、必ずしも市民のニーズに応えているとは言い難い。

 

 

 

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